環境用語集

土壌汚染における特定有害物質 このページのTOPへ

カドミウム及びその化合物 このページのTOPへ

起源・性質・用途

カドミウムは亜鉛の鉱石に多く含まれて産出し、水中ではイオン、錯体、懸濁粒子として存在している。主な用途は電気メッキ、顔料、ニッカド電池、ゴム、写真材料、ブラウン管、合金、プラスチック部品などで、近年では日本の需要の80%は電池の用途である。発生源として化学工業、金属製品製造業、電気機械器具製造業のような業種があげられる。

毒性

眼、気道を刺激し、ヒュームを吸入すると肺気腫を起こすことがある。反復または長期にわたり粉塵粒子に暴露すると肺が冒されることがある。又腎臓に影響を与え、蛋白尿、腎不全を生じることがある。富山県神通川で発生したイタイイタイ病の原因物質としても知られている。
国際がん研究機関(IRAC)は、カドミウム化合物をグループ1(人に対して発がん性がある)に分類している。

土壌中の挙動等

カドミウムイオンは土壌への吸着性が高く水への溶解度が低いため、汚染土壌中における移動性が少ない。
土壌中の存在形態は酸化状態では大部分が交換性陽イオンとして土壌に吸着しているものと考えられ、一部はリン酸塩、炭酸塩などの難溶性化合物であり、還元状態では難溶性の硫化物として安定であるとされている。

基準・その他

農用地の土壌汚染の防止等に関する法律により、特定有害物質に指定されている。現時点では微量重金属調査研究会(1970)を基に地下水環境基準や土壌環境基準が設定されている。
EU(欧州連合)の廃電気電子機器リサイクル(WEEE)指令、特定物質の使用禁止(ROHS)指令において有害物質(カドミウム、水銀、鉛、六価クロム)に指定され、日本でも2006年7月以降に電気・電子機器への使用が禁止となった。

シアン化合物 このページのTOPへ

起源・性質・用途

シアンは一般に安定した塩で存在し、主な用途として鋼の焼き入れ、金属の精錬、金属メッキ、メタクリル樹脂の製造時などで使用される。主な発生源として金属製品製造業、化学工業、電気機械器具製造業があげられるほか、1970年代までは液化石炭ガスの製造工程でシアン化合物が副次的に生成された。天然にはほとんど存在せず、一般に人工的に合成され、鉱山廃水、工場廃水等により排出される。メッキ工程で使用されることが多いことから、六価クロムと複合汚染していることがある。

毒性

シアン化合物は非常に強い毒性をもっており、高濃度のシアン化合物を取り込んだ場合は短時間で死に至り、低濃度のシアン化合物を取り込み続けても、頭痛、めまいなどを起こすとの報告がある。シアン化カリウムの致死量は、150~300mgとされている。

土壌中の挙動等

シアンは水溶性が高く、土壌に吸着され難いため、一般的に汚染の拡散移動性は高い。

基準・その他

急性毒性が懸念されることから、検出されないこととして、地下水環境基準や土壌環境基準が設定されている。

四塩化炭素 このページのTOPへ

起源・性質・用途

無色透明な液体で麻酔性の芳香を有する。難水溶性・不燃性だが、有機溶媒には可溶である。フロン11、12などのフルオロカーボン類の原料として使用されるほか、各種溶剤や洗浄剤としても使用される。
オゾン層破壊物質として、国内では1996年1月1日以降は原則的に製造が禁止されている。

毒性

国際がん研究機関(IARC)は、グループ2B(ヒトに対して発がん性の可能性があるかもしれない)に分類している。研究動物での十分な証拠はあるが、ヒトでは不十分であるとされている。

基準・その他

ラットに対する実験結果を基に、ヒトに適用する場合等の不確実係数を考慮して耐容一日摂取量(TDI)が算出され、この数値を基に地下水環境基準や土壌環境基準が設定されている。

1,2-ジクロロエタン このページのTOPへ

起源・性質・用途

無色透明な液体である。主な用途は塩化ビニルなど樹脂の原料、フィルム洗浄剤、溶剤などがある。

毒性

国際がん研究機関(IARC)は、グループ2B(ヒトに対して発がん性の可能性があるかもしれない)に分類している。研究動物での十分な証拠はあるが、ヒトでの発がん性に関しては限られた情報しかない。

土壌中の挙動等

土壌中で1,1,2-トリクロロエタンが分解する際に生成される物質である。このため1,1,2-トリクロロエタンの汚染の可能性があるところでは、1,2-ジクロロエタンを調査対象物質に入れる必要がある。

基準・その他

ラットに対する実験結果を基に、「生涯にわたってその値の1,2-ジクロロエタンを取り込んだ場合に、取り込まなかった場合と比べて10万人に1人の割合でがんを発症する人が増える水準」として、地下水環境基準や土壌環境基準が設定されている。

1,1-ジクロロエチレン このページのTOPへ

起源・性質・用途

無色から淡黄色を呈し、液体(常温)でクロロホルム臭がある。主な用途は塩化ビニルなど樹脂の原料、フィルム洗浄剤などがある。

毒性

国際がん研究機関(IARC)は、グループ3 (ヒトに対する発がん性については分類できない) に分類している。ラットの飲み水に混ぜて与えた実験では、肝臓の組織変化が認められている。

土壌中の挙動等

土壌中でテトラクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレンが分解する際に生成される物質である。このため上記物質の汚染の可能性があるところの調査では、1,1-ジクロロエチレンを調査対象に入れる必要がある。

基準・その他

ラットに対する実験結果を基に、ヒトに適用する場合等の不確実係数を考慮して耐容一日摂取量(TDI)が算出され、この数値を基に地下水環境基準や土壌環境基準が設定されている。

1,3-ジクロロプロペン このページのTOPへ

起源・性質・用途

無色透明な液体でクロロホルム臭がある。土壌燻蒸剤や殺虫剤として使用される。

毒性

強い刺激作用があり、人体に対しては肝障害、腎障害が知られている。国際がん研究機関(IARC)は、グループ2B(ヒトに対して発がん性の可能性があるかもしれない)に分類している。

土壌中の挙動等

土壌に散布された1,3-ジクロロプロペンは、土壌中ではガスとなって広がる。殺虫効果はこの蒸気によるものである。その後ガスは大気中に放出されるが、液体の比重は1.225 と重く、地下水汚染が懸念されている。水中では比較的低い溶解度と高い揮発性により、急激に消滅するとされている。

基準・その他

マウスの実験結果に基づいて、「生涯にわたってその値の1,3-ジクロロプロペンを取り込んだ場合に、取り込まなかった場合と比べて10万人に1人の割合でがんを発症する人が増える水準」として地下水環境基準や土壌環境基準が設定されている。

ジクロロメタン このページのTOPへ

起源・性質・用途

芳香臭のある無色透明な液体で、不燃性でものをよく溶かし、しかも沸点が40℃と低く、揮発しやすい。このため、約半分が金属加工における油の除去などに使われる。水に比較的溶けやすく、水中から大気への揮発もあまりない。
主な用途は塗料の剥離剤、プリント基板洗浄剤、溶剤、ウレタン発泡助剤、冷媒などがある。

毒性

人体に対しては麻酔作用や中枢神経障害が知られている。国際がん研究機関(IARC)は、グループ2B(ヒトに対して発がん性の可能性があるかもしれない)に分類している。

基準・その他

ラットの実験結果から、耐容一日摂取量(TDI)が算出され、これに基づいて地下水環境基準や土壌環境基準が設定されている。

シス-1,2-ジクロロエチレン このページのTOPへ

起源・性質・用途

芳香臭のある無色透明な液体である。主な用途は合成樹脂の原料、溶剤などがある。

毒性

シス-1,2-ジクロロエチレンの慢性毒性に関する実験報告はない。トランス体を用いたマウスの実験では、雄にアルカリフォスファターゼ(ALP、リン酸化合物を分解する働きを持つ酵素)の増加が、雌に胸腺重量の減少が認められている。

土壌中の挙動等

土壌中でテトラクロロエチレン、1,1,2トリクロロエタン、トリクロロエチレンが分解する際に生成される物質である。このため上記物質の汚染の可能性があるところの調査では、シス-1,2-ジクロロエチレンを調査対象に入れる必要がある。
環境省が公表する過去の土壌汚染調査・対策事例数のうち、揮発性有機化合物の汚染物質を多い順にあげると、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレンとなっている。

基準・その他

トランス体を用いたマウスの実験結果に基づき、ヒトに適用する場合等の不確実係数を考慮して耐容一日摂取量(TDI)が算出され、この数値を基に地下水環境基準や土壌環境基準が設定されている。

シマジン このページのTOPへ

起源・性質・用途

白色の結晶性粉末で、野菜、果樹、芝生などの除草剤として使用される。特にイネ科の雑草に有効。主な発生源として農地、農薬製造工場、貯蔵場所、廃棄物処分場があげられる。

毒性

目を刺激し、神経系に影響を与えることがある。長期または反復暴露の影響としては、反復または長期間の接触により皮膚が感作されることがある。肝臓、腎臓、血管系に影響を与えることがある。ヒトで遺伝子損傷を引き起こすことがある。新生児に発育遅延を起こすことがある。

土壌中の挙動等

屋外ほ場における土壌中半減期は30~61日、自然水における水中半減期は約2.5日である。土壌中での移行性は小さく、土壌表面に処理層を形成する。

基準・その他

農薬取締法への登録時の評価を基に、地下水環境基準や土壌環境基準が設定されている。

水銀及びその化合物 このページのTOPへ

起源・性質・用途

金属水銀は比重が大きく、常温で液体で揮発性が高い。主鉱石は辰砂(HgS)で、単体としての産出は稀である。多くの金属と合金(アマルガム)をつくる。
  現在の主な用途は各種電極や金・銀などの抽出液、水酸化ナトリウム製造の際などに使われているほか、身近なところでは、血圧計、体温計、温度計などの計器類、水銀灯、蛍光灯などに使われている。有機水銀は水銀系農薬の製造中止、塩化ビニルなどの製造の触媒としての水銀使用中止により、人為的に生成されることがなくなった。

毒性

金属水銀や無機水銀化合物は、経口摂取してもほとんど体内に吸収されず、糞便や毛髪から排出される。しかし気体は毒性が強く、蒸気を吸うと神経が冒される。
有機水銀化合物、特にアルキル水銀はさらに毒性が強く、消化管・肺・皮膚から容易に吸収され、脳内に蓄積されて中枢神経障害を引き起こすとされている。特に胎児への影響が大きいとされている。
発がん性については、国際がん研究機関(IARC)が、メチル水銀化合物についてグループ2B(人に対して発がん性があるかもしれない)に分類しているが、水銀及び無機水銀化合物についてグループ3(ヒトに対する発がん性については分類できない)としている。

土壌中の挙動等

無機水銀は微生物の作用などにより、水俣病の原因物質であるアルキル水銀等の有機水銀に変化すると言われている。アルキル水銀は高度の生物濃縮を起こし、水中の濃度はわずかであっても魚介類のなかに高濃度に蓄積されて毒性を発揮する可能性がある。

基準・その他

魚介類の食品としての暫定的規制値を超えない濃度として、地下水環境基準や土壌環境基準が設定されている。
EU(欧州連合)の廃電気電子機器リサイクル(WEEE)指令、特定物質の使用禁止(ROHS)指令において有害物質(カドミウム、水銀、鉛、六価クロム、PBB、PBDEの6物質)に指定され、日本でも2006年7月以降に電気・電子機器への含有が禁止となった。

セレン及びその化合物 このページのTOPへ

起源・性質・用途

赤褐色から暗灰色の固体。光を受けると電気を流す性質を持つ。地殻表層中に含まれる元素としては少なく、自然由来も含めて汚染事例は少ない。
主な用途はセラミックス、半導体、光電池、整流器などの電子産業部門のほか、ガラス工業、顔料、触媒、合金用に利用される。セレンは光を受けると電気を流す性質があるため、コピー機の感光ドラムや太陽電池に使われている。また、ガラスや陶磁器などの赤、ピンク、橙黄色の着色剤や顔料、ガラスに含まれる不純物の色を吸収する消色剤、合金の添加剤として用いられるほか、セレンが欠乏している地域の土壌改良剤にも使われている。主な発生源として鉄鋼業、廃棄物処理業、電気機械器具製造業があげられる。環境中への排出は非鉄金属製造業などの事業所からのもので、一部は大気中へ排出される。

毒性

生体必須元素であるが、過剰摂取で中毒症状を示す。急性中毒症状は弱いといわれている。セレンの高濃度のヒュームに短時間暴露された労働者に眼、呼吸器の刺激と頭痛が認められたが、全身的な症状発現はなかった。慢性中毒症状としては呼気のニンニク臭、疲労感、焦燥感、毛髪の脱落、爪の変化、悪心、嘔吐、腹痛、下痢、末梢神経障害などがある。
国際がん研究機関(IARC)は、セレン及びその化合物をグループ3(人に対する発がん性については分類できない)に分類している。

土壌中の挙動等

土壌に吸着されにくく、地下水に溶出しやすい性質を有している。

基準・その他

セレンを食物から摂取した場合に毒性が認めらなかった報告から推定したヒトの無毒性量(NOAEL)を基に、地下水環境基準や土壌環境基準が設定されている。

チウラム このページのTOPへ

起源・性質・用途

白色粉末又は粒状、強い殺菌力をもつ硫黄系殺菌剤(ジチオカーバメート系)で、種子消毒、茎葉散布剤として単独で、あるいは他剤と混合して使用されるほか、加硫促進剤として使用されている。発生源として農地、農薬製造工場、貯蔵場所、廃棄物処分場があげられる。

毒性

短期的な暴露により、眼、皮膚、気道を刺激する場合がある。また、長期又は反復暴露によって、皮膚の感作、甲状腺、肝臓、肺へ影響をあたえることがある。また、動物試験の結果、人の生殖に毒性影響を引き起こす可能性がある。土壌汚染対策法の溶出量基準値は農薬取締法への登録時の評価を基に設定されている。また、酸や酸化剤、還元剤などと反応する。

土壌中の挙動等

土壌中での分解速度が速いため、環境中での寿命は短いと考えられる。

基準・その他

農薬取締法への登録時の評価を基に、地下水環境基準や土壌環境基準が設定されている。

チオベンカルブ このページのTOPへ

起源・性質・用途

無色から淡黄色の液体である。稲や野菜の栽培時における雑草の成長抑制に用いられる。発生源として農地、農薬製造工場、貯蔵場所、廃棄物処分場があげられる。

毒性

短期暴露の影響としては、眼、皮膚、気道を刺激する。

土壌中の挙動等

土壌中半減期は水田状態で40日程度。水田の初期除草剤として使用されることから、河川水で比較的高い濃度で検出された事例があるほか、魚介類中からも検出例がある。

基準・その他

食品衛生法による食品規格設定(平成5年)の際の評価により、許容一日摂取量(ADI)が算出され、この数値を基に地下水環境基準や土壌環境基準が設定されている。

テトラクロロエチレン このページのTOPへ

起源・性質・用途

エーテル臭を有する無色透明の液体である。主な用途はドライクリーニング溶剤、原毛溶剤、石けん溶剤、フロンガス製造などで、発生源として洗濯業、電気機械器具製造業、金属製品製造業などがあげられる。

毒性

高濃度を長期間取り込み続けると、肝臓や腎臓への障害が認められることがあり、比較的低濃度では頭痛、めまい、眠気などの神経系への影響が現れることがある。テトラクロロエチレンについて動物実験において肝細胞がんの発生が報告されている。
国際がん研究機関(IARC)は、グループ2A(人に対しておそらく発がん性がある)に分類している。

土壌中の挙動等

土壌中で分解し、1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、トリクロロエチレンを生成する。このためテトラクロロエチレンの汚染の可能性があるところでは、1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、トリクロロエチレンを対象項目に入れて行うことが必要となる。

基準・その他

テトラクロロエチレンの動物実験では、大部分は変化せずに呼気とともに吐き出され、数%は代謝物に変化してから、尿に含まれて排せつされる。また、繰り返して取り込まれると、体内に蓄積する傾向がみられる。
上記の動物実験結果に基づいて、「生涯にわたってその値のテトラクロロエチレンを取り込んだ場合に、取り込まなかった場合と比べて10万人に1人の割合でがんを発症する人が増える水準」として、地下水環境基準や土壌環境基準が設定されている。

1,1,1-トリクロロエタン このページのTOPへ

起源・性質・用途

甘い匂いを持つ無色透明の液体である。主な用途は金属洗浄剤、ドライクリーニング用溶剤などがある。オゾン破壊物質の一つとして考えられている。

毒性

人や実験動物において中枢神経系の抑制作用及び麻酔作用を示すことが報告されている。(これまでの測定では、大気中からは検出されているが、呼吸に伴う人の健康への影響を評価できる情報は現在のところ報告されていない。)
地下水においては、一部で環境基準を超える濃度が検出されているが、このような汚染された地下水を長期間飲用するような場合を除いて、飲み水から取り込むことによる人の健康への影響は小さいと考えられる。

土壌中の挙動等

土壌中で分解し、1,1-ジクロロエチレンを生成する。このため1,1,1-トリクロロエタンの汚染の可能性があるところでは、1,1-ジクロロエチレンを対象項目に入れて行うことが必要である。

基準・その他

1,1,1-トリクロロエタンは、変化せずにそのまま呼気とともに吐き出されるほか、代謝物に変化してから尿に含まれて排せつされる。
動物実験結果から耐容一日摂取量(TDI)が算出され、これに基づいて地下水環境基準や土壌環境基準が設定されている。

1,1,2-トリクロロエタン このページのTOPへ

起源・性質・用途

甘い匂いを持つ無色透明の液体である。主な用途は油脂、ワックス用溶剤、粘着剤の製造などがある。

毒性

動物の細胞などを使った変異原性試験で陽性を示す結果が報告されている。また、実験動物において肝細胞がんが認められている。
国際がん研究機関(IARC)では、実験動物に対する発がん性情報が限られていることから、グループ3 (ヒトに対する発がん性については分類できない)に分類している。

土壌中の挙動等

土壌中で分解し、1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレンを生成する。このため1,1,2-トリクロロエタンの汚染の可能性があるところでは、上記項目を対象項目に入れて行うことが必要である。

基準・その他

動物実験結果に基づいて、「生涯にわたってその値の1,1,2-トリクロロエタンを取り込んだ場合に、取り込まなかった場合と比べて10万人に1人の割合でがんを発症する人が増える水準」として、地下水環境基準や土壌環境基準が設定されている。

トリクロロエタン このページのTOPへ

起源・性質・用途

無色透明の液体である。主な用途は金属機械部品などの脱油洗浄、冷媒フロンの製造、ドライクリーニング溶剤、香料などの抽出、染料の溶剤などがある。

毒性

高濃度を長期間取り込み続けると、肝臓や腎臓への障害が認められ、比較的低濃度では頭痛、めまい、眠気などの神経系への影響が認められている。変異原性の試験では陽性を示す結果と陰性を示す結果の両方が報告されている。
トリクロロエチレンについては実験動物において肝細胞がんの発生率の増加が報告されている。しかし、動物に対する発がん性は明らかでなく、種による違いが大きいことが指摘されている。
国際がん研究機関(IARC)は、グループ2A(人に対しておそらく発がん性がある)に分類している。

土壌中の挙動等

土壌中で分解し、1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレンを生成する。このためトリクロロエチレンの汚染の可能性があるところでは、上記項目を調査対象物質に入れて行うことが必要である。

基準・その他

トリクロロエチレンの蓄積性は低く、脂肪組織などに分布した後、再び血中に入り、肝臓で代謝物に変化してから、尿に含まれて排せつされる。
  動物実験結果に基づいて、「生涯にわたってその値のトリクロロエチレンを取り込んだ場合に、取り込まなかった場合と比べて10万人に1人の割合でがんを発症する人が増える水準」として、地下水環境基準や土壌環境基準が設定されている。

鉛及びその化合物 このページのTOPへ

起源・性質・用途

方鉛鉱(PbS)や自鉛鉱(PbCO3)として産出される。主な用途は蓄電池の極板、水道鉛管、塗料、電池、農薬、鉛はんだ、レンズ、半導体などがある。過去には、ハイオクガソリンの添加剤として四エチル鉛が使用された。発生源としては化学工業、金属製造業、非鉄金属製造業、電気機械器具製造業などがあげられる。

毒性

高濃度の鉛による中毒の症状としては、食欲不振、貧血、尿量減少、腕や足の筋肉の虚弱などがある。大量の鉛が体内に入ると腹痛、嘔吐などの急性中毒を示し、長期少量摂取では、食欲不振、便秘、貧血、視力障害、また新生児の発育遅延などが起こるとされている。急性中毒よりも、長期の蓄積毒性の方が問題となる。
国際がん研究機関(IARC)は鉛の無機化合物をグループ2A(人に対しておそらく発がん性がある)に分類し、金属鉛及び有機鉛をグループ2B(人に対して発がん性があるかもしれない)、鉛の有機化合物をグループ3(人に対する発がん性については分類できない)に分類している。

土壌中の挙動等

不溶性塩を生成しやすく、土壌にも吸着しやすいことから、地表からの汚染が地下水に到達し拡散する可能性は低いと考えられている。

基準・その他

鉛は、人体への蓄積性があることから、消化管からの吸収率が高く、最も感受性が高い乳児の代謝研究結果から、耐容一日摂取量(TDI)が算出され、これに基づいて地下水環境基準や土壌環境基準が設定されている。
EU(欧州連合)の廃電気電子機器リサイクル(WEEE)指令、特定物質の使用禁止(ROHS)指令において有害物質(カドミウム、水銀、鉛、六価クロム)に指定され、2006年7月以降に輸出する電気・電子機器への使用が禁止となった。

PCB このページのTOPへ

起源・性質・用途

置換している塩素の数や位置によって200以上の異性体が存在し、物理的性状も無色液体から樹脂状個体まで多様である。化学的に安定(酸・アルカリに冒されず、不燃性で加熱・冷却しても性質が変わらない)で、電気絶縁性に優れている。水に不溶だが有機溶媒に可溶であり、多くの有機合成樹脂に対して良好な溶解性を示す。
主な用途は絶縁体、熱媒体、可塑剤、感圧紙などで、トランスやコンデンサに多く使われてきた。通常の焼却や微生物処理などによる分解は困難である。
ポリ塩化ビフェニル廃棄物の保管、処分等については「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」が別に定められている。

毒性

短期的な暴露影響として、眼を刺激することがある。反復又は長期にわたる皮膚との接触により、皮膚炎、塩素挫創を起こすことがある。また、長期的な摂取により、脂肪に蓄積し、皮膚障害、肝障害、浮腫、視力低下、手足のしびれなどを起こすことがある。昭和43年のカネミ油症事件がもとで、昭和47年に製造が中止となった。

土壌中の挙動等

土壌中では移動性が小さく、汚染拡散の程度は低いが、化学的に安定で生分解性も低いため長期間土壌中に残留するとされている。

基準・その他

魚介類における生物濃縮係数が非常に高いため、地下水環境基準や土壌環境基準では、「検出されないこと」とされている。

砒素及びその化合物 このページのTOPへ

起源・性質・用途

金属と非金属の性質を持つ半金属である。天然に遊離して存在することは稀で、多くは銅、鉛、亜鉛、鉄などの金属と一緒に産出する。
主な用途は半導体材料、合金添加、農薬、殺鼠剤、皮革や木材の防腐剤、医薬品原料、色素製造、ガラス工芸などで用途は広い。主な発生源としては化学工業、金属製品製造業、鉄鋼業、鉱業、温泉水などがあげられる。

毒性

人に対する砒素化合物の急性毒性の強さは、アルシン(水素化砒素AsH3)>亜砒酸塩>砒酸塩>有機砒素化合物の順で強いと考えられている。急性の中毒症状としては、めまい、頭痛、四肢の脱力、全身疼痛、麻痺、呼吸困難、角化や色素沈着などの皮膚への影響、下痢を伴う胃腸障害、腎障害、末梢神経障害が報告されており、砒素化合物の致死量は体重1kg 当たり1.5~500 mg と考えられている。慢性中毒症状として皮膚の角化症、鳥足症、末梢性神経症、皮膚がんなどが知られている。砒素を含む農薬の製造者及び使用者、銅の精錬作業に従事した作業者に、主に三価の砒素による肺がんが報告されている。
国際がん研究機関(IARC)は砒素及び砒素化合物をグループ1(人に対して発がん性がある)に分類している。

土壌中の挙動等

砒素及びその化合物は自然界に普通に存在し、三価及び五価の形をとるのが普通である。三価の砒素は酸化的条件下で亜砒酸イオンとなって水によく溶ける。しかし、硫黄との親和性がよく、還元的状態で硫黄と共存する硫化砒素として難溶性となる。五価の砒酸も水への溶解性が高い。
液性(pH)及び酸化還元を引き起こすことができる他の物質の存在によって、水溶液中では、価数の状態の入れ替わりが起こり、生成される化合物の種類によって溶解度が変化する。地盤中での移動は三価の亜砒酸イオンの方がより重要と考えられる。弱酸性から弱アルカリ性の広い領域で砒酸は陰イオンであり、土壌粒子の吸着を受けやすい。

基準・その他

さまざまな疫学調査や動物実験を総合的に判断して、暫定最大耐容1 日摂取量(PMTDI)が算出され、これをもとに地下水環境基準や土壌環境基準が設定されている。

標準ガス このページのTOPへ

土壌ガス調査において、揮発性有機化合物の混合標準液の原液をマイクロシリンジで量り採り、減圧した検量線用ガス瓶の弁を開放し、調査対象物質を含まない空気を流入させて混合標準液を検量線用ガス瓶内に注入する。このとき混合標準液は気化した状態となり、既知の濃度の標準ガスを作る。

ふっ素及びその化合物 このページのTOPへ

起源・性質・用途

淡黄色の気体で反応性が高いため天然には単体として存在せず、種々の元素と結合して広く存在する。
主な用途はフッ素系樹脂原料、侵食作用を利用したガラスのつや消しなどがある。主な発生源として鉄鋼業、化学工業、電気機械器具製造業、窯業などがあげられる。

毒性

眼、皮膚、気道に対し腐食性があり、蒸気やフュームを吸引すると肺気腫を起こすことがある。また低カルシウム血症を起こし、心不全、腎不全を生じることがある。
ふっ素を継続的に飲み水によって体内に取り込むと、人に軽度の斑状歯が発生することがあると報告されている。最近のいくつかの研究では骨へのふっ素沈着の発生率や骨折リスクが増加するとされている。

土壌中の挙動等

環境中に排出されるフッ素はフッ化水素あるいはフッ化ケイ素の形で、このうちフッ化水素の水溶液はフッ酸と呼ばれ、ケイ砂やガラスを溶解させることが知られている。したがってフッ酸は土壌をも溶解させると考えられている。土壌に浸入したフッ酸は水に溶けにくいフッ化カルシウムになると考えられている。

基準・その他

斑状歯発生予防の観点から、地下水環境基準や土壌環境基準が設定されている。

ベンゼン このページのTOPへ

起源・性質・用途

特有の芳香性を持つ、無色透明の液体である。難水溶性だが有機溶剤にはよく溶ける。揮発しやすく、引火性があるが、光、空気に対しては安定である。
主な用途は合成ゴム、合成皮革、合成洗剤、有機顔料、染料、医薬品、農薬などの各種化学品の合成原料、溶剤、抽出剤などがある。
ガソリンの中に数%のベンゼンが含まれていたが、低ベンゼン化が進められ、法改正によって、自動車用ガソリンのベンゼンの許容限度は、2000年1月より1%以下(体積比)になっている。

毒性

人体に対しては白血病、再生不良性貧血などが知られている。高濃度のベンゼンを多量に吸引するとめまい、嘔吐、頭痛、眠気、よろめき、平衡感覚喪失、昏睡など主に中枢神経に影響を受ける。
国際がん研究機関(IARC)は、グループ1(人に対して発がん性がある)に分類している。

土壌中の挙動等

地表面から土壌に浸入し、帯水層まで達した場合、水よりも比重が小さいため(その他の揮発性有機化合物は水より比重が大きい)、地下水面に滞留しやすい性質をもっている。

基準・その他

油類による土壌汚染の観点からは、石油系燃料に含まれるベンゼンが基準項目として定められているほか、トルエン、キシレンが要監視項目(地下水の水質汚濁に係る環境基準)に指定されている。
人がベンゼンを取り込んだ際の発がん性リスクから、「生涯にわたってその値のベンゼンを取り込んだ場合に、取り込まなかった場合と比べて10万人に1人の割合でがんを発症する人が増える水準」として地下水環境基準や土壌環境基準が設定されている。

ほう素及びその化合物 このページのTOPへ

起源・性質・用途

天然には遊離して存在せず、主としてほう酸塩として存在する。主要鉱石はホウ砂などである。温泉中や海水中に高濃度で存在し、植物や動物にとって必須元素である。
主な用途は鉄合金などの硬さ増加剤、原子炉の中性子吸収剤、ガラスや陶器のエナメル合成、着火防止剤、燃料合成などがある。

毒性

化合物の種類によって毒性は異なる。妊娠しているラットの実験では、母動物に腎臓重量の増加と胎子に体重増加抑制と肋骨の異常が認められる場合がある。
人がほう素を体内に取り込む可能性があるのは、飲み水や食物によると考えられる。体内に取り込まれたほう素は、数日で尿に含まれて排せつされる。

土壌中の挙動等

様々な化合物を形成するが、自然界において多くはホウ砂などとして存在する。

基準・その他

ラットの実験結果から耐容一日摂取量(TDI)が算出され、これに基づいて地下水環境基準や土壌環境基準が設定されている。

有機りん化合物 このページのTOPへ

起源・性質・用途

主に農薬(殺虫剤)として使用されている。パラチオン、メチルパラチオン、メチルジメトンは、毒物及び劇物取締法の特定物質に指定され、現在、製造、販売が禁止されており、EPNのみが製造が許可されている。主な排出源は、農薬製造業や農地と考えられている。
EPNは淡褐色不揮発性油状液体で、常温では一部結晶化する。淡赤色粉状製品もある。

毒性

短期暴露により、神経系への影響、痙攣、呼吸機能不全、意識喪失などのおそれがあり、長期又は反復暴露により、神経系への影響、催奇性などの可能性がある。

土壌中の挙動等

水には難溶であるため、汚染の広がりは比較的小さい。また土壌中での分解が早く、長期間高濃度に汚染されることは少ないと考えられている。

基準・その他

平成3年7月8日の中央公害対策審議会の答申「土壌の汚染に係わる環境基準の設定について」で有機りん化合物については、“溶出液中に検出されないこと”とされた。
平成6年3月3日付けの環境庁水質保全局長通知「土壌の汚染に係わる環境基準についての一部改正について」では、水質環境基準から有機りん化合物が削除されたが、“その製造及び使用の状況を考慮するといまだ土壌汚染の可能性があるため、土壌汚染に起因した水質汚濁を未然に防止する観点から、土壌環境基準からの削除を行わなかったものである”としている。

六価クロム化合物 このページのTOPへ

起源・性質・用途

金属クロムは鉄、マンガンについで量が多く、銀白色の光沢がある硬く脆い金属である。
クロムには2価、3価、4価、5価、6価の化合物があり、水中のクロムは一般に3価(Cr3+)のイオンで存在し、稀に6価(Cr6+)としても存在する。
主な用途先としてメッキ工場、皮なめし工場、顔料製造業、コンクリート製造業などで、主な発生源として金属製品製造業、化学工業、一般機械器具製造業(ネジ、シャフト、ナット)などがあげられる。

毒性

溶液に触れたり、非常に細かい蒸気を吸い込むと、手足、顔に発赤、発心が起こり、炎症が生じる。長期に摂取すると潰瘍や肺ガン、鼻中隔穿孔などが知られている。
国際がん研究機関(IARC)は、六価クロム化合物をグループ1(人に対して発ガン性がある)に分類している。

土壌中の挙動等

土壌・地下水汚染事例ではメッキ槽の老朽化による漏洩や投棄クロム鉱滓からの溶出が知られている。土壌中に入った六価クロムは、少量の場合は、土中の有機物等との反応によって容易に還元されて三価クロムに変化し、水に溶けにくい形になると考えられるが、大量に入ると六価クロムのまま土壌中に存在し、地下水へ入ることがある

基準・その他

世界保健機関(WHO)の基準に基づいて、地下水環境基準や土壌環境基準が設定されている。
EU(欧州連合)の廃電気電子機器リサイクル(WEEE)指令、特定物質の使用禁止(ROHS)指令において有害物質(カドミウム、水銀、鉛、六価クロム)に指定され、2006年7月以降に輸出する電気・電子機器への使用が禁止となった。

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