粒径2.5μm以下の微小粒子状物質(PM2.5)について、その健康影響が懸念されていることから、質量濃度の環境基準が平成21年9月に設定されました。それを受けて、環境省は常時監視体制を整備するとともに、PM2.5対策の検討に資するという観点から成分分析の実施も盛り込みました。
当社はそれに対応すべく、PM2.5質量濃度の標準測定法サンプラー5台と自動測定機5台を導入し、また質量濃度測定の恒量条件を満足する恒量室およびウルトラマイクロ天秤を整備してきました。
成分分析についてもご相談ください。

高層気象観測は高度約30,000mまでの大気の状態を観測することをいい、世界各地(国内では16ヶ所の気象官署など)で毎日決まった時刻に行われています。この観測で得られたデータは、天気予報の数値解析予報モデルや、気候変動・地球環境の監視、航空機の運行管理などに利用されています。
上層気象観測(高度約10,000mまで)のうち、低層ゾンデ気象観測は公害関連の調査などで実施され、一定速度で上昇する気球にゾンデ発信器を取り付け上空に飛揚させて、上空2,000m以下までの気温・湿度・風向・風速・気圧(高度)を測定するものです。
当社では、低層ゾンデ気象観測を、大気汚染予測のパラメーター収集等のために実施しています。


年代 | ゾンデの種類 | 概要 | 当社の主な実績 |
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1938年頃~1990年代 | ラジオゾンデ パイロットバルーン |
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1992年 (平成4年) ごみ焼却場 |
1981年頃~現在 | レーウィンゾンデ |
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1997年 (平成9年) 再生工場 |
2001年頃~ | GPSゾンデ |
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2006年 (平成18年) 騒音伝播 |
1997年、京都議定書において地球温暖化物質が指定されたのを受けて、1998年には「地球温暖化対策の推進に関する法律」が制定されました。この法律では、温室効果ガスとして、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、ハイドロフルオロカーボン(HFCs)、パーフルオロカーボン(PFCs)、六フッ化硫黄(SF6)の6種類が指定されました。
当社では、従来、拡散実験に使用されていたSF6の代替ガスとしてパーフルオロメチルシクロヘキサン(PMCH)を用い、高感度微量分析(ppt、10-12:一兆分の一)による拡散実験を可能にしました。
PMCHもパーフルオロカーボン(PFCs)の一種ですが、政令で指定されている物質には該当しません。また、実験に必要なガスの発生量は従来使用していたSF6の1/1000以下と極めて少ないため、PMCHを拡散実験に用いた場合でも、地球環境に与える影響は小さいものと考えられます。
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長さ30mの擬似トンネル内における拡散実験 |
本実験は、代替ガスの微量放出による拡散実験の実用化を目的として、基礎的項目を確認しました。
- 分析に必要なトレーサーガスの捕集量、発生量と濃度の関係、同一地点での複数の試料の比較(分析精度の確認)を行いました。
- 擬似トンネル内の軸方向の濃度はほぼ一様で、大気質の濃度分布と同様な傾向であることが検証されました(若干の濃度変化は、擬似トンネル内の風速の変化などの影響を受けているものと考えられます)。
この結果、代替ガスの微量放出による拡散実験は、実際に、現地における本実験に活用できることが確認できました。
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分析装置(GC/MS法) | 分析チャート及び検量線 |
トレーサーガスを用いた拡散実験の応用
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大気環境常時監視システムは、国や自治体において大気の汚染状態を常に監視し、 著しい汚染の恐れがある場合には迅速な対策をとることを主な目的としています。 当社は自動測定機で二酸化硫黄(SO2)、二酸化窒素(NO2)、浮遊粒子状物質(SPM)、 光化学オキシダント、PM2.5などの大気汚染物質の測定や、風向・風速を観測し、 データを電話回線利用による24時間連続での監視も行っています。 また、環境大気常時監視自動測定機の保守管理や精度管理、データ管理業務等を適切に実施するために、 平成21年度より開始された「環境大気常時監視技術者試験制度((社)日本環境技術協会)」により認定を受けた 「環境大気常時監視技術者」も全国に有しています。

